2月9日はふくの日です。
協同組合・下関ふく連盟が1980年(昭和55年)に制定した記念日で、本場下関では河豚(ふぐ)を「福」と同じ発音で縁起がいいことから「ふく」と呼ぶため、「ふ(2)く(9)」と読む語呂合わせからこの日が選ばれました。
ふぐは、フグ目、特にフグ科に属する魚の総称で、フグ目という括りでみると、カワハギやハコフグ、マンボウなどもすべてふぐの仲間です。
ふぐの特徴
ふぐには、いくつかの珍しい特徴があるのをご存知ですか?
①ふくらむ
ふぐは、敵を威嚇するときや、身を守る時にプーっと膨らみます。
胃の腹面の膨張嚢に空気や水を吸い込むことで、2〜4倍ほどになります。
腹部が丸くふくらむと、ユーモラスでかわいいのですが、ふぐにとっては必死な瞬間だったのですね。
②毒がある
ふぐの筋肉や血液、内臓などには「テトロドトキシン」という猛毒があります。
部位によって独の強さがかなり異なり、一般に肝臓、卵巣、皮の毒力が強いと言われています。
ふぐ毒は麻痺による呼吸困難を引き起こし、ふぐ中毒には特効薬はなく、致死率がきわめて高いことが知られています。
③頑丈で強力な歯
ふぐの口の中には、上下それぞれ2枚、計4枚のクチバシのような板状の歯があります。
アルミ缶を簡単に切り抜き、漁師の方が使う直径2mm程度のワイヤーも簡単に噛み切ってしまうのだとか。
この歯を使ってエビやカニなどの甲殻類や貝、ヒトデなど固い殻を持った生物を捕食しています。
ふぐの王様 とらふぐ
世界には400種類以上のふぐが生息しているのだそうです。
日本近海には約70種が生息し、そのうち食用と認められているのは約20種。
そのなかでも、最も高値がつき「ふぐの王様」と称されるのがとらふぐです。
とらふぐは、瀬戸内海、九州沿岸、朝鮮海峡、黄海、東シナ海に分布。
ふぐの中でも成長が早く、体長80㎝に達するものもある大型ふぐです。
上半身となる背中はやや深い緑色を帯びた黒色で、まだらな黒斑が点々とありお腹は白色です。
胸ビレの後ろの方に外側に白い輪のある大きな黒い紋があり、それがとらふぐの特徴です。
頭部から背ビレに沿って小さな棘が隙間なく生え、腹部にもやや小さめの棘が生えてているので、手触りはザラリとしています。
とらふぐの味わい
そして、その美味しさは天下一品です。
身は白身で、低脂肪、高たんぱく質で良質なコラーゲンを含んでいます。
もっちりとした歯ごたえが心地よく甘味と旨味の絶妙な美味しさを堪能できます。
ふぐの筋肉であるたんぱく質は、旨味の元であるアミノ酸の組合せで構成され、それらは昆布や鰹節と同じ成分なので、ふぐの味は日本人の味覚によく合います。
皮は、コリコリとした食感があり、ぷるんとしたゼラチン質にコラーゲンをたっぷり含んだ美肌食材です。
オスの成魚からしか取れない貴重な部位である白子は、濃厚でクリーミーな味わいが特徴です。
それでは、ふぐの魅力を存分に堪能できる料理をご紹介していきましょう。
ふぐ料理①てっさ
「てっさ」は、「ふぐ刺し」の別名で、主に関西地方で使われています。
ではなぜ「てっさ」と呼ばれるようになったのでしょうか?
昔からふぐの毒にあたって亡くなる方が多かったことから、当たると亡くなることが語源となり、ふぐのことを鉄砲と呼んでいました。
「てっさ」の「てっ」は鉄砲を指し、「さ」は「刺身」を意味していると言われています。
繊細な旨味やしっかりとした歯ごたえを堪能できるよう、1~2mm程度の薄さに切り、直径30~50cm程度の大皿に盛り付けられます。
菊の花を模して盛り付けた菊盛りや鶴の姿の見た目の鶴盛り、牡丹盛りや玉盛りなど、芸術作品のような美しさに圧倒されます。
お取り寄せできるてっさもたくさんあります。
本場下関の山口ふぐ本舗きらくの「ふぐ刺身5-6人前」をオーダーすれば、ご自宅で菊盛りのてっさが楽しめます。
身質が一番良いとされる1~1.2㎏の活とらふぐを厳選しており、ふぐ好きにはたまらないぷりぷりの皮の湯引きも一緒に堪能できます。
このてっさに合わせたいお酒は、新潟・高野酒造の「WiWi純米吟醸酒」です。
通常の日本酒の仕込みで使う日本酒酵母ではなく、白ワインを醸造する際に使用するワイン酵母で仕込んでいます。
てっさにはポン酢を使うので、酸には酸でということで、酸味のあるこちらを。ふぐの繊細な味やポン酢と、WiWiの爽やかな酸味とやさしい甘味との相性がとても良いです。
ふぐ料理②てっちり
「てっちり」は、ふぐ鍋のことです。
昆布を使ったダシで煮ることでふぐの淡泊な味を引き立て、ポン酢をつけていただきます。
もちろんてっさも美味しいのですが、加熱されることでぷりぷりとした食感が生まれます。
肉厚のふぐの美味しさは冬ならではの贅沢ですね。
海峡本舗の「とらふぐ鍋セット」は、朝獲れ活締めで冷蔵で届きます。
とらふぐ焼ひれや、特製もみじおろしがついているのもうれしいですね。
合わせたいお酒は「バロン・ド・ロスチャイルド・ブラン・ド・ブラン」。
ボルドーの一級シャトーであるシャトー・ムートン・ロスチャイルドが手掛けるこちらは、シャルドネ100%で造られており、みずみずしい果実味・酸味が魅力のエレガントな味わい。
噛めば噛むほどに旨みが味わえるふぐだからこそ、アミノ酸の旨みが多く含まれているシャンパーニュとの相性は抜群です。
最後にごはんと溶き卵を入れ、フグ雑炊にするのもお忘れなく。
ふぐ料理③ふぐの唐揚げ
最後は唐揚げです。
カラリと揚がった唐揚げの美味しさは何と言ってもそのジューシーさ!
骨の周りに付いた身に豪快にかぶり付けば、むっちりとした食感と旨味で病み付きになることになること間違いなしです。
ペアリングしたいのは山口地ビールが手がける「山口の麦ピルスナー」。
100%山口県のビールモルト、100%岩手県遠野産のホップを使用した100%日本の原料を使用したビールです。
麦の香りが豊かで香ばしく、コクとほのかな甘みがふぐの旨味を引き立てます。
いずれのふぐ料理もお取り寄せができるので、お気に入りのお酒とのペアリングを楽しんでみてください。