冬が寒さを増してくると、そのおいしさに磨きがかかってくるのが牡蠣ではないでしょうか。
俗に言う「Rのつく月」のなかでも、真冬のこの時期は真牡蠣が旬を迎え、クリーミーで濃厚な味わいを楽しむことが出来ます。
とれる地域や漁港によって、味わいはそれぞれ違うことから、近年はオイスターバーで食べ比べたりするのも流行しています。
海のミルクと呼ばれる貝類の王様
味わいが濃厚なだけでなく、栄養も満点の牡蠣は「海のミルク」と呼ばれるほどの滋養があることで知られています。
レモンを絞って生で、焼いたり蒸したりする以外にも、鍋料理に牡蠣フライ、クリーム煮やグラタンなど、どんな料理にしてもおいしく楽しめ、さながら貝類の王様ともいえる存在でもあります。
日本だけでなく、海外でも多くの人に親しまれている牡蠣ですが、食べ方は国によっていろいろです。
例えばお隣韓国では、チヂミやチゲの具に使ったり、スペインではアヒージョの具に。
アメリカでは生牡蠣にレモンスライスとともに、カクテルソースやホースラディッシュが添えられます。
ヨーロッパではオランデーズソースやワインビネガーを使ったソースで生牡蠣を食べる国が多いようです。
いろいろな国の食べ方を真似して、好みのものを探すのもいいかも知れません。
養殖場は海だけではない?!池で熟成する牡蠣
牡蠣の養殖をする場所は、もちろん海の中ではあるのですが、生牡蠣大国フランスはちょっと事情が違っています。
フランスは冬になるとレストランやビストロで生牡蠣を楽しめるのですが、牡蠣だけでなく、テナガエビやムール貝、はまぐりなどとともに大きな器に盛り付けたものを家族や友人と囲みます。
その中で牡蠣はいわば花形の主役で、かつてはブルターニュのブロン川でとれるヒラガキが最高だといわれていました。
しかしそれが絶滅に瀕してからは、ボルドーで養殖されるグリーンオイスターがフランスの牡蠣の頂点だといわれています。
海で育てた牡蠣を、陸上の塩田跡の池でさらに育てる「アフィナージュ」という手法を用いるのだといいます。
アフィナージュされた牡蠣は池特有のプランクトンを食べて育つため、エラの部分が美しいエメラルドグリーンになるといい、それがグリーンオイスターの証でもあるのです。
実はこの塩田跡の池で育てる方法を取り入れている生産者が日本にも存在します。
広島県の離島、大崎上島にあるファームスズキの牡蠣が、グリーンオイスターと同じ方法で育てられているもので、その量は広島県で生産される牡蠣のたった0.3%。
クレールオイスターという名前で販売されています。
希少な牡蠣ではありますが、その贅沢な甘みと香りに、一度食べたらきっと虜になるはずです。
牡蠣とシャブリ、相性がいいって本当?
牡蠣と合わせるお酒というと、呪文のように「牡蠣とシャブリ」と聞くことが多いのではないかと思います。
シャブリという名前も覚えやすく、牡蠣を食べる当日にワインショップに駆け込んでも、大概何かしらワインを探し出すことが出来る銘柄だといえます。
石灰岩の土壌から生まれたブドウによる、火打ち石のような香りをもち、はつらつとした酸が、生牡蠣にレモンを絞るとよく合います。
シャブリといってもピンからキリまであり、手頃な価格で買えるプティ・シャブリのような、リンゴ酸がフレッシュなものもあれば、グラン・クリュのような複雑で飲みごたえのあるしっかりしたものであれば、キャビアを添えたヴルーテソースといただいても。
牡蠣がとれる場所によって、合うワインも変わってくるので、ペアリングをあれこれ試すのも楽しいのではないかと思います。
殻付きの生牡蠣をあちこちから取り寄せて味わったりするのも、年末年始は楽しいかも知れません。
いろいろな牡蠣料理とシャブリをあわせて楽しんでみたいですね。