なすび記念日には、夏を想って泉州の酒を

なすび記念日には、夏を想って泉州の酒を

4月17日はなすび記念日です。

4(よ)1(い)7(なす)と、語呂合わせも良いことや、なすが大好物だったという徳川家康に、毎年4月になるとなすを献上していたことにちなんで、もっとたくさんなすを食べてもらおうと、冬春なすの主な産県である、高知県園芸連、JA全農とくしま、JA全農おかやま、JA全農ふくれん、JA熊本経済連、JAさがが組織する「冬春なす主産県協議会」が制定した記念日です。

なすの旬はいつ?

なすは1年中出回っている野菜ですが、旬は5~10月で、千両なすなどは冬場もハウス栽培されており、産地を変えながら1年中どこかのなすが市場に出荷されています。「秋茄子は嫁に食わすな」と言われたりしているのはご存知のとおりでしょう。ここでいう秋は、10月頃の秋が深まった時期ではなく、8月の終わりから9月にかけての初秋。この頃になるとなすは身がしまって美味しくなります。ですが、やはり旬と言えるのは真夏。7~8月がなすは出ざかりとなり、さまざまな品種のなすが数多く出回るようになります。

種類が豊富ななす

なすは非常に種類が多く、地方によっては伝統野菜として栽培しているところもあり、地域によってさまざまななすが作られています。千両なすや長なす、漬物に良い小なす、まるまると大きい米なす、京都の伝統野菜である賀茂なす、大阪・泉州が特産の水なすなどをはじめ、最近はイタリア料理の普及に伴い、ゼブラなすやカプリス、白いなすなど、数え上げたらきりがありません。主成分の9割以上が水分でありながら、味わいも多様で、出回る時期もそれぞれのため、好みの品種が出てくるのを心待ちにする方もいる野菜です。

フルーツのような味わいの水なす

なすの中でも人気が高く、アクが少なく生でも食べることの出来るなすとして、最近ではだいぶおなじみになってきた水なす。生で食べると、フルーツのようなみずみずしさと甘みがあり、居酒屋などでお刺身にして出したりするお店も多くなりました。生のままサラダにして食べても美味しく、和洋を問わず親しまれています。

ていねいに扱われる「宝石のようななす」

水なすは大阪の泉州地域を中心に栽培され、他の地域ではなかなか美味しいものが栽培できないことでも知られています。皮が薄く傷つきやすいことから、細心の注意を払って栽培・収穫されます。ハウス栽培が行われるようになってから、通年入手できるようになりましたが、本格的に出荷が始まるのは3月の終わり頃から。泉州地域ではぬか漬けにするのが一般的で、季節になると京都のお漬物屋さんなどに水なすが並ぶようになります。ひとつのパックに1つずつ、まるで宝石を扱うようにていねいに扱われ、食卓へと届きます。そのためちょっぴり高価ですが、その美味しさには眼を見張るものがあります。

泉州地方のお酒事情

大阪は江戸時代、かなりの酒どころだったことをご存知でしょうか。大阪から江戸に向け「下り酒」と呼ばれて大量のお酒が運ばれていました。天下の台所とも呼ばれた大阪の、豊かな食文化に育まれたお酒は、今でも地域で親しまれています。泉州はその名の通り、泉が湧く地でもあり、その水を生かした日本酒造りが行われています。

昔ながらの酒造りで知られる「三輪福」

泉州地域の酒蔵は3軒。それぞれが個性豊かな日本酒を醸していますが、なかでもよく知られているのが、井坂醸造場の「三輪福」です。お酒の神様として知られる、奈良県の三輪神社から特別に名前を使うことが許されているお酒で、数々の賞を受賞しています。大量生産はせず、昔ながらの酒造りを行っており、岸和田周辺で手に入ることから、お土産などにもされているお酒です。

大切に育てられた水なすのぬか漬けやお刺身に、水を生かして育まれた三輪福をあわせて、なすが美味しくなる夏へ向けての季節を想うのも楽しいのではないでしょうか。みずみずしい水なすが、心を潤してくれますよ。

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