1月15日は「適サシ肉の日」です。
東京・浅草にあるすき焼き店の「ちんや」が制定した記念日で、6代目の当主が過剰な霜降りの肉を使わずに、適度に霜降りの入ったものを使うと、2017年に宣言したのがこの日であることから制定されました。
脂肪の量は4等級程度で、脂肪の融点が低い若い牝牛の肉を「適サシ肉」としています。
浅草で一番古いすき焼き店が認める「適サシ肉」とは
ちんやは、東京・浅草にあり、今半や米久などと並ぶすき焼きの名店としてその名を知られています。
1880年に創業し、140年以上の老舗でもあり、浅草で最も古いすき焼き店でもあります。
そんなお店が「適サシ肉」しか使わないと宣言したことは、その当時かなり話題となりました。
適サシ肉はちんやの6代目である住吉史彦さんの造語で、適度な霜降りの入った牛肉を指しますが、サシが30%ほど入ったものがちょうどいいのだといいます。
よく、黒毛和牛の等級でA5のものが最高、などといいますが、等級は、サシがほとんどない1等級から始まり、最高の5等級はサシが5~7割のものまで分類されており、近年は過度にサシの入ったものが増え、味が落ちていると住吉さんはいいます。
ちんやですき焼きに出している牛肉は、4等級程度のもの。
サシが入っていても真っ白になるほど入っているわけではなく、きめ細かやかなサシが全体に入った牛肉は、食感もやさしく、ほんのりと甘みが感じられます。
関東と関西、こんなに違うすき焼きの作り方
実は関東と関西では、すき焼きの作り方に違いがあります。
関東のすき焼きは、どちらかというと鍋料理の部類に入り、割り下というタレを使って鍋で煮ます。
割り下を先に鍋に入れて煮立て、そこに野菜や焼豆腐、牛肉を入れて煮るイメージです。
お肉も、地方によっては豚肉や鶏肉を使うところもあり、バラエティに富んでいるといえます。
一方で、関西のすき焼きは、鍋ではなく焼肉の部類に入り、お肉をさっと焼くイメージです。
鉄鍋に牛脂を引き、いいお肉をさっと焼いて食べ、そこに調味料を加えて野菜を入れていきます。
関東のように割り下ではなく、醤油や砂糖などを直接鍋に足していきます。
そのため、味が一定でなく、作る人や食べるタイミングで味が変わります。
お肉は牛肉のみで、他のお肉はほぼ使うことがありません。
すき焼きを食べるなら、どんなお酒を合わせる?
しっかりした濃いめの甘辛い味付けで、肉や野菜に火を通してから、生卵に絡めて食べるすき焼きは、やはり選ぶお酒もしっかりしたものがぴったり来ます。
日本酒ならば、生酛や山廃などの純米酒のような、芳醇な味わいのお酒がよく合います。
いいお肉にはいいお酒、と大吟醸などを合わせようとすると、線が細かったりしてすき焼きに負けてしまうことがあるので注意が必要です。
ワインなら、合わせるのはやはり赤ワインがぴったり来ますが、しっかりした骨格のある、果実味の豊かなタイプがよく合います。
品種で言うならば、グルナッシュやシラー、少し酸味のあるところでガメイなどもおすすめです。
イタリアワインなら、南の方で造られるモンテプルチアーノや、タウラージのような重たいタイプもいいかもしれません。
和食の中では比較的ワインに合わせやすい料理でもあるので、いろいろ好みのものを合わせて、探ってみるのも楽しいですよ。
「適サシ肉」の名付け親でもある、東京・浅草のちんやは、現在改装工事中。
2022年3月18日に再開を予定しているとのことなので、タイミングを見計らって、新装開店したときに食事を楽しみに行くのもいいかもしれません。
日本のごちそうの代表格ともいえるすき焼きを、おいしく楽しむための肝となるお肉は、間違いのないものを選べるようになりたいですね。