7月17日は祇園祭にゆかりのあるお酒を

7月17日は祇園祭にゆかりのあるお酒を

私が住む京都では、毎年祇園祭が始まると「夏が来たなぁ」と、季節の到来を感じます。
例年であれば、神事の中心となる7月17日の神幸祭(しんこうさい)に合わせて、23基の山鉾が四条烏丸から新町御池までを巡行する、前祭(さきまつり)の山鉾巡行が行われます。
2020年と今年は、新型コロナウイルスの影響で巡行は中止となってしまいましたが、山鉾は立てられコンチキチンのお囃子が響きわたっています。

祇園祭とは

祇園祭とは、毎年7月に行われる京都祇園・八坂神社の祭礼です。
平安時代の869年、京都の各地で疫病が流行していたことから、人々は神泉苑に、祇園の神様を迎えた神輿3基と66本の矛を立てて御霊会を行い、疫病を神に鎮めてもらおうとしたのが始まりだと言われています。

室町時代、商工業者による自治組織(両側町)ができ始め、町ごとに山鉾を作って街中を巡行する現在の原型が出来上がりました。
応仁の乱や第二次大戦などで中断されたり、明治時代にコレラの流行で延期されたこともありましたが、その度に街の人々の力で復興し、現在まで実に千年以上続く祭りとなっています。

1ケ月も続くお祭り?


祇園祭と言えば、山鉾巡行や露店が立ち並ぶ宵山を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は7月の1ケ月間を通したお祭りなんです。
以下のような行事が次から次にやってきます。

・吉符入り(7月1日~18日) 各山鉾町
・くじ取り式(7月2日) 京都市役所 市会議場
・お迎え提灯(7月10日) 氏子区内
・神輿洗(7月10日) 四条大橋
・前祭 山・鉾建て(7月10日~14日) 各山鉾町
・長刀鉾稚児社参(7月13日) 八坂神社
・前祭宵山行事(7月14日~7月16日) 各山鉾町
・先祭山鉾巡行(7月17日) 氏子区内
・神幸祭(7月17日) 八坂神社~四条御旅所
・後祭 山・鉾建て(7月18日~7月21日) 各山鉾町
・後祭宵山行事(7月21日~7月23日) 各山鉾町
・後祭山鉾巡行(7月24日) 氏子区内
・花傘巡行(7月24日) 八坂神社~市役所前~八坂神社
・還幸祭(7月24日) 四条御旅所~八坂神社
・神輿洗(7月28日) 四条大橋

主な見どころをご紹介しましょう。

祇園祭の見どころ

山建て・鉾建て

祗園祭では前祭・後祭で合わせて30以上の豪華絢爛な山鉾が登場します。それぞれがサイズもデザインも異なるので、それだけで一見の価値があります。
7月10日~14日および7月18日~21日の期間に京都を訪れれば、それらの山鉾を収蔵庫から出して組み立てる「山建て」「鉾建て」の様子を見られます。

宵山

「宵山」とは前祭・後祭それぞれの当日の3日前~前日にかけて行われる前夜祭のことで、完成した山鉾を見ることができます。
夜になると山鉾には提灯が点灯され、四条通と烏丸通が歩行者天国に。セール会場のような人混みですが、地元の子供たちはこの日を心待ちにしています。

神幸祭

神幸祭(じんこうさい)とは、八坂神社の3基の神輿が氏子区域内を回る神事で、7月17日行われます。前祭の山鉾巡行と同じ日ですね。

花笠巡行

花笠巡行は7月24日に行われます。芸能的要素が色濃い行事で、花笠を中心とした総勢約1000名の参加者が行列をつくり、約2時間かけて京都の街を一周します。

山鉾巡行の見どころ


そして、今回のテーマとなっている祗園祭のメインイベントとも呼べる行事が山鉾巡行です。
「山」は、昇方(かきかた)と呼ばれる20名ほどの人々によって巡行されます。
各山の構造は類似していますが、その飾りや人形が特徴的です。
「鉾」は、曳方(ひきかた)と呼ばれる約40名もの人々によって巡行されます。
先頭の「長刀鉾」は、高さ約25メートル、重量は約11トン。
鉾の組み立てから、巡行及び解体には延べ約180人もの人手が必要と言われています。
巡行には、「くじ改め」「注連縄切り」「辻回し」の3つの見どころがあります。

●くじ改め
各山鉾がくじ取り式で決められた順番通りに来ているかを奉行に確認してもらうのが「くじ改め」の儀式です。
羽織袴の「町行司」が、京都市長扮する「奉行」の前で、扇子一本でくじの蓋にかけられた紐を開けて、見事な所作で奉行にくじを差し出します。
所作が見事に決まると声援と拍手が沸き上がります。

●注連縄切り
朝9時の巡行が始まってまもなく辿り着く四条麩屋町では、四条通を横断するように張られた注連縄(しめなわ)を稚児が切る「注連縄切り」の儀式が行われます。注連縄切りは「鉾がこれから神域に進むことを伝える」意味があるのだそう。
ちなみに、生稚児が乗る山鉾は現在では長刀鉾のみです。神の領域の境界線として張られている注連縄(しめなわ)を切り、結界を解くって、大役ですよね。
地元の新聞では、稚児を務める少年が注連縄切りの練習に励む様子なども紹介されたりします。

●辻回し
辻回しは鉾(ほこ)・曳山(ひきやま)・船鉾(ふねほこ)が四条河原町・河原町御池等の交差点で90度方向転換する際に行なわれます。
辻回しでは道路に青竹などを敷って水を掛け、引き綱を何回か横から引き、山鉾を90度方向転換させます。

祇園祭にちなんだお酒

それでは、祇園祭にちなんだお酒を紹介していきます。

●松井酒造「吟醸 祇園ばやし」

享保11年(1726年)創業。金閣寺や銀閣寺、吉田神社御用達の蔵元で、洛中の2つの蔵元のうちの1つ、松井酒造の吟醸酒です。
キーンと冷やすと、さっぱりとした喉越しの良さに磨きがかかり、さらに美味しくいただけます。

●丹山酒造「京の夏まつり 純米吟醸」

https://tanzan-shuzo.shop-pro.jp/?pid=144338350

京都・亀岡にある丹山酒造は、自社栽培米に力を入れ、無農薬有機栽培に取り組んでいる蔵です。
こちらもボトルのエチケットに鉾が描かれています。
フルーティなお米の香りと綺麗な甘旨みがすーっと消えていく、夏向きのさっぱりとしたお酒です。

●「ウィットリーニール ハンドメイド クラフト・ジン(アロエ&キューカンバー)」

八坂神社の御神紋が「五瓜に唐花(ごかにからはな)」で、きゅうりを輪切りにした時の断面の模様に似ているといわれていることにちなみ、きゅうりのお酒のご紹介です。ご参考に、氏子の人たちは祇園祭が行われる一月の間、きゅうりを食することを封じる慣わしがあります。

こちらのお酒は、キュウリと、ジューシーなアロエがミックスされたジン。

日本人からすると、「え、きゅうり?」という感じですが、意外や意外、ジントニックにしてきゅうりとレモンのスライスを添えるとさらにちょっぴりメロンのようなフルーティさが楽しめます。

来年こそは巡行を見られますようにと祈りつつ、今年はお酒で祇園祭気分を味わってはいかがでしょうか。

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