日本初のクラフトビール誕生の地:新潟県のクラフトブルワリー

日本初のクラフトビール誕生の地:新潟県のクラフトブルワリー

新潟県のクラフトブルワリー

日本一の米どころとして有名な新潟県は、同時に日本有数の清酒どころでもあります。日本酒の生産量は、灘のある兵庫、伏見のある京都に続いて三番目。一人当たりの日本酒消費量は全国一位です。
日本酒消費の牙城である新潟は、ビールについても非常に熱心です。日本で最初にクラフトビールを始めたのは新潟県の酒造で、創業から20年以上が経過してもなお日本を代表するクラフトブルワリーとして活躍しています。
その他、日本で初めて産官学連携を行ったブルワリー、日本で初めて瓶内発酵・熟成手法で免許を取ったブルワリー、日本で初めて世界最高峰の品評会で一位を獲得したブルワリーなど、日本初がいくつもそろっています。伊達にお酒が好きではないということですね。

エチゴビール

エチゴビール

エチゴビールは清酒「越後鶴亀」で有名な酒蔵、上原酒造株式会社が、1994年に設立したクラフトブルワリーです。1994年にビール製造の規制緩和が行われた際、真っ先にクラフトブルワリーとしてビール醸造免許を取得した、日本のクラフトブルワリー第一号として知られています。
上原酒造は明治23年に創業した酒蔵で、ビール醸造を開始したのは五代目の誠一郎氏です。誠一郎氏はヨーロッパで俳優・演出家として公演活動を行っており、ビールの製造を志したのはヨーロッパでの体験がきっかけであったようです。

第一次クラフトビールのブームが終わった際、上原酒造のビール製造も含め、数多くのクラフトブルワリーが危機に立たされました。2000年にはビール部門は分社化され、同じ新潟県の菓子メーカーであるブルボンの支援を受けて、エチゴビール株式会社となりました。
2010年には経営的に窮地に陥っていた上原酒造から、ブルボンが全株を取得して完全子会社化し、現在に至っています。そのため、エチゴビールの製品はブルボンのネットショップで購入できるようになっています。
紆余曲折はあったものの、現在でも広い範囲のスーパーやコンビニで販売が行われており、第一線級のクラフトブルワリーとして活躍し続けています。

新潟麦酒株式会社

新潟麦酒株式会社

新潟麦酒は1997年に新潟市の西蒲区に設立されたクラフトブルワリーです。創設者及び社長の宇佐美氏は元々サラリーマンでしたが、ビール好きが高じてビール造りに魅了され、脱サラして免許の取得も醸造タンクの製造もすべて自分で行い、ついにはビール屋の社長になってしまった人物です。
瓶の中で酵母が生きて発酵・熟成を継続する「瓶内熟成」を行うビールの製造方法で免許を取得した、日本で最初のクラフトビールでもあります。酵母が生きているので、瓶や缶でも作りたてのビールの味がいつでも楽しめます。同時に味が刻々と変化していくので賞味期限は短く、買ったら早めに飲むのがお勧めです。

農業も行っており、耕作放棄地を借り受けてビールで使用する小春二条大麦を栽培したり、和牛の放牧を行ったりしています。その他、不可能と言われていたトリュフの人工栽培にも成功しており、食品の素材やサプリメント、化粧品用として販売を行っています。

また、もう一つの目玉が養豚です。新潟麦酒は新潟市と胎内市にそれぞれ農場を持っており、ここでビール製造に使った麦芽とトリュフの菌床で育てた豚を使った製品を販売しています。

スワンレイクビール

スワンレイクビール

スワンレイクビールは阿賀野市にある「瓢湖屋敷の杜ブルワリー」が製造するビールのブランドです。瓢湖屋敷の杜はレストランやブライダルウェディングを運営する天朝閣グループの傘下企業となっています。
ブルワリーは瓢湖(ひょうこ)近くの五頭山麓にある、豪農の古い屋敷「五十嵐邸」の敷地内にあります。瓢湖は冬に白鳥が渡来する湖として知られており、それがスワンレイクの名の由来です。

ビールの実力は非常に高く、アメリカで開かれる世界最高峰のビール品評会「ワールド・ビア・カップ(WBC)」において、日本企業で初めて一位を獲得しました。それ以降も、WBAに並ぶイギリスの品評会「ワールド・ビア・アワード(WBA)」でも賞を獲得しています。2016年までに国内外のコンテストで金銀銅合わせて113ものメダルを手に入れており、ビール品評会上位入賞常連企業です。

次回は富山県のクラフトブルワリーを紹介します。

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