飛騨の山と美濃の水がビールを作る:岐阜県のクラフトブルワリー

  • 2017.05.30
飛騨の山と美濃の水がビールを作る:岐阜県のクラフトブルワリー

岐阜県のクラフトブルワリー

岐阜県といえば、作家の司馬遼太郎氏をして「美濃を制する者は天下を制す」と言わしめたほど、歴史的に重要な土地です。美濃和紙や美濃焼、関孫六で有名な刃物類などの伝統工芸品が有名で、近年では日本酒の育成にも力を入れていることで知られています。
2016年には飛騨市が映画「君の名は」の舞台となるなど、豊かな自然と様々な観光名所からアニメの舞台とされることが多いことも相まって、隣の富山県と共に「アニメ街道」としても知られるようになっています。

飛騨高山麦酒

飛騨高山麦酒

飛騨高山麦酒は高山市松本町で、1995年からビールを作っているブルワリーです。元々はリンゴ栽培と肉牛飼育を営んでいた農家で、ビールを醸造した後の麦芽やホップが牛の飼料になることに注目してビール醸造を開始しました。
牛糞はリンゴの肥料になり、将来的には麦やホップの栽培にも使用したいとのことです。ビールは地下180mからくみ上げた北アルプス由来の伏流水を仕込みに使用しています。

ちなみに、ロゴマークは獅子であって、間違ってもピエロではありません(ビアワングランプリ2017年度のメッセージより)。

銘柄味の印象
ヴァイツェン
(ヴァイツェン 5%)
小麦の麦芽が原材料の50%を占める、ドイツ生まれのビールです。苦みがほとんどなく、甘い香りとわずかな酸味、淡麗な口当たりを持ちます。
ペールエール
(ペールエール 5%)
淡色のエールビールで、酵母が作り出すフルーティーな香りが印象的です。ホップをきかせたドライな飲み口に仕上げられています。
ダークエール
(アンバーエール 5%)
ローストした麦芽を使用したエールで、麦芽の味と香りが強くなったことで、ペールエールよりも丸みのある濃い味わいに仕上がっています。
スタウト
(フォーリンスタウト 7%)
アイルランド生まれの黒ビールです。ビターな味わいと深みのある香り、比較的ドライでありつつ、カラメルのような喉越しを有します。
ピルスナー
(ピルスナー 5%)
飛騨高山麦酒の中では唯一のラガービールです。ホップの苦みがきいた切れの良い味が特徴の、辛口のビールとなっています。
カルミナ
(ベルジャン・ダーク・ストロングエール 10%)
カルミナとはシンハラ語(スリランカの言語)で「黒い宝石」という意味です。瓶の中でも発酵が継続するビールで、時間が経つごとに度数が強化されるとともに風味が変化します。

地ビール飛騨

地ビール飛騨

地ビール飛騨は、飛騨高山麦酒と共に高山市にあるもう一つのブルワリーです。ビール工房兼販売店である「古里古里(こりこり)の国」は、飛騨地方の伝統工芸品を作る工房が集まった「匠の森」にあります。周辺には「飛騨民俗村 飛騨の里」や「飛騨高山美術館」といった観光施設が点在しているのが特徴です。

ビール工房兼ブルーパブがある建物は屋根にソーラーパネルを敷き詰めており、ビール造りのために必要な電力はすべてここから得ています。

銘柄味の印象
飛騨ホワイトビール
(ヘフェヴァイツェン 5%)
小麦の麦芽と白川郷で作られた米を原料に使った、改良型ドイツ風の白ビールです。小麦麦芽による甘みと、米による淡麗さが組み合わされた、独自のあっさり感が印象的です。
飛騨ブラックビール
(シュバルツ 5.5%)
ドイツの黒ビールに、原料として飛騨高根高原産スイートコーンを追加した改良スタイルです。下面発酵と低温熟成で作ったラガービールで、深い味わいとすっきりした喉越しが同居しています。
源泉仕込み 下呂麦酒
(オリジナルビール 5%)
温泉で有名な下呂市の炭酸泉を仕込みに使ったオリジナルのビール。真っ白い泡と、赤みがかかった深い褐色の液色が目を引きます。味わいは深く、なおかつスッキリ。
飛騨ビール(ケルシュ)
(ケルシュ 5%)
ドイツのケルン発祥のビールで、チェコ産ザーツホップと、ドイツ産ハラタウホップを使用しています。本場ケルンの人にも「故郷の味だ!」とのお墨付きをいただいた本格派とのこと。
飛騨ビール(アルト)
(アルト 5%)
ケルンのライバル都市であるデュッセルドルフ伝統のビールです。ローストしたカラメル麦芽に、華やかな香りを出すエールビールの酵母を使い、低温で熟成させることで淡麗さを作り出しています。
さるぼぼラベル
(ケルシュ 5%)
ケルシュの高山限定ラベルです。飛騨で昔から作られているさるぼぼをあしらったデザインで、高山周辺でしか入手できません。
飛騨フルーツ発泡酒 林檎lala
(フルーツビール 4.5%)
高山市久々野町特産の飛騨林檎を使用したフルーツビールです。林檎果汁と酵母の澱によってうっすらと濁った色が生絞りの林檎ジュースを思わせます。
飛騨フルーツ発泡酒 柚子lala
(フルーツビール 4.5%)
関市産の「かみのほ柚子」を使った、日本ならではのフルーツビール。まるでフルーツジュースのような明るい金色で、ビールならではの真っ白で豊かな泡がきれいなコントラストを作っています。

郡上八幡麦酒こぼこぼ

郡上八幡麦酒こぼこぼ

郡上八幡麦酒は2013年に登場したブルワリーです。店主の松本氏は岡山で会社員をしていましたが、20年余り趣味で家庭醸造を行っており、その経験を活かして自分のブルワリーを立ち上げました。
郡上で開店することに決めた理由は「水」。郡上八幡の周辺には鍾乳洞がいくつも存在しており、石灰岩から溶け出したカルシウムが豊富な水が、生活用水として日常的に使われています。このやや硬度が高めの水が、松本氏が作るビールにピッタリであったそうです。

醸造所が入っている町家「玄麟」は江戸時代から漢方堂として使われていた歴史ある建物で、雑貨屋やバルなど数件のお店が入っています。周辺とよく馴染んでいるために見逃しがちですが、クラフトビールの幟が目印になっています。
町屋を選んだのは地下に「室(むろ)」があることが大きな理由で、ここでビールを寝かすことで長期熟成のビールを提供することが出来るようになっています。規模は小さいですが、その分商品の回転率が高く、様々なメニューを味わうことが可能です。
最近は外部への出荷量が増え、ボトル製品もネットで買えるようになっています。代わりにお店の方は週末と予約が入った日のみの営業となっています。

ライト

銘柄味の印象
クリームエール
(クリームエール 3%)
アメリカ生まれの、淡い色をした軽めのビールです。ホップや麦芽の風味は抑え気味で、熟成の際に低温で保存することでフルーティーさを減らし、さわやかな風味をプラスしています。
ビターエール
(ビターエール 3%)
イギリス発祥のライトなビール。ビターといっても格別に苦いわけではなく、マイルドエールに比べるとホップが少々きかせてあるというだけなので、ピルスナーなどに比べると苦みは弱めです。
マイルドエール
(マイルドエール 3%)
イギリスにおいて、労働者がリフレッシュのために飲めるように作られたビールです。毎日疲れたときに飲めるように、濃くなく、苦くなく、低アルコールと、非常に飲みやすいビールとして作られています。

レギュラー

銘柄味の印象
ペールエール
(ペールエール 5%)
ビターエールと並ぶイギリスビールの代表格的存在です。ホップを強めにきかせたアメリカンスタイルとなっており、グレープフルーツを思わせる香りが特徴です。
セッションIPA
(セッションIPA 5%)
セッションビールはセッション(会議)の最中にも飲めるぐらいに軽くしたビールという意味です。度数や濃度を控えめにしてありますが、それでもペールエールの5倍の苦み付けホップを使用しています。
ベルジャン・ペール
(ベルジャン・ペールエール 5%)
ベルギーの酵母を使用して作ったペールエールで、優しく複雑な香りと、控えめな苦みが特徴。キャラクターネームは「ベルギーの優男」です。
ESB
(ESB 5%)
ビターエールのフルボディタイプ。ビールはしっかり苦くて、味わいが無くてはダメという人にうってつけの、ビール好きのためのビールです。
ウィートエール
(デュンケルヴァイツェン 4%)
小麦を使ったドイツ産白ビールの濃色版です。フルーティーな香りとかすかな酸味の中に、カラメルに似た甘みがあり、カクテル感覚で飲めるビールです。
ブラウンエール
(アンバーエール 5%)
ローストしたカラメル麦芽を使用したエールで、アメリカのクラフトビール業界で人気のスタイルです。麦芽の味と香りによってホップの苦みが抑えられ、香りも豊かな芳醇なビールに仕上がっています。
ポーター
(ポーター 5%)
強くローストした麦芽を使用した、イギリスのロンドン発祥の黒ビール。コーヒーのような風味を持ちつつ、ホップの苦みと香りもしっかりと主張している、複雑で飽きの来ない飲み口です。

ヘビー&長期熟成

銘柄味の印象
IPA
(IPA 6%)
イギリスから植民地のインドへと届けるために生み出されたビールです。防腐用としてアルコール度数を高くして、ホップを大量に使っているので、非常に強い香りと苦みを有しています。
バーレイワイン
(バーレイワイン 8%)
大麦のワインを意味する名前を持つ強アルコールビール。長期の熟成により、ワインやレーズンを思わせる風味が作り出されます。
オールドエールイギリス発祥の濃厚な高アルコールビールで、バーレイワインの兄弟分(あるいは同種)と言える存在です。ホップの強い苦みとアルコールの辛みが調和して、丸みのある味を作っています。
ベルジャン・デュッベル
(ベルジャン・デュッベル 6%)
ベルギーの修道院が販売用に製造している種類のビールです。デュッベルとは「ダブル」のことで、たっぷりと使用した麦芽による濃厚な風味に強いアルコール、ベルギービール特有の芳醇さを持っています。

次回はお酒の一人当たり消費量日本一の、新潟県のクラフトブルワリーを紹介します。

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