第四話 黒瀬杜氏の卓越の技 〜薩摩焼酎を求めて、週末に鹿児島へ飛ぶ〜

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前回お伝えしたベスト5だが、実は本記事を書いている途中に何度の変更が加えられている。おそらく来週になれば、やっぱり順位を変えたいと連絡が入るに違いない。そのくらい友人T君にとっては甲乙つけがたく、また“たった”5つに絞るという作業が難しかったということだ。
ちなみに、記事を書くきっかけとなった「金計佐」は最終的に第三位に入った。千社札風なラベルが「伝統」を彷彿させる。

そんな悩ましいランキングの中で絶対に外れないだろうという蔵元がある。それが万膳酒造だ。今回の選択の中でも第一位に「真鶴」そして四位に「万膳庵」がランクインした。友人T君は幾度も順位を変えたがったけれども、この「真鶴」だけは終始不動であった。焼酎の製造には麹菌が不可欠となるが、黒麹、黄麹、白麹のラインナップの中で(現在は)白麹を利用して作られる、いわゆるプレミアムな焼酎だ。
鹿児島酒造組合の公式サイトを見てみると、「手造り麹、かめ壷仕込み、木樽蒸留で黒瀬杜氏の卓越の技で醸した」と記載があって、「萬」よろず、すべての「膳」食をうるおすとの意味が込められているそうだ。

希少価値が高く、当然だが都内で飲める店も限られる。私は友人T君に連れられて、渋谷区にある駅から少しだけ離れた場所で経営する九州料理店に行った。そこで「真鶴」を知ったのだった。黄色いラベルに荒々しい書体で書かれた二文字の漢字。一升瓶を眺めながら、芋焼酎について熱く語る友人の悦に入ったまなざしが今でも忘れられない。彼曰く、まろやかな味なのだそうだ。一般的にはお湯割りに適しているそうだが、ロックで呑んでも素晴らしいという。残念ながら、私はすぐに酔っ払ってしまい、どんな感じだったのか忘れてしまった。ただ、味そのものだけでなく希少という点において高い価値がある逸品なのは間違いないだろう。

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