お伊勢さんと忍者の里のビール:三重県のクラフトブルワリー

三重県のクラフトブルワリー

松坂牛や伊勢エビ、あわびに牡蠣など、おいしいものが目白押しの三重県。
三重県を中心とする紀伊山地一帯は古来の霊場であり、世界遺産にもなっている参詣道は今も多くの旅行者が利用しています。多くの人が来る場所なので観光業の歴史も長く、創業何百年の企業というのも珍しくありません。このような三重県を代表するクラフトブルワリーには、16世紀に創業した茶屋を祖とする企業が興したものもあります。

日本にはヨーロッパのような「何百年も続くビール醸造所」はありませんが、「何百年もの歴史がある企業が作るビール」ならあるという事です。歴史は浅くとも、作られるビールには昔から受け継がれてきた技術や理念が生きています。

伊勢角屋麦酒

伊勢角屋麦酒

伊勢角屋麦酒は伊勢市にある有限会社「二軒茶屋餅角屋本店」が醸造するビールブランドです。二軒茶屋餅角屋の創業は、今からおよそ430年前以上前の1575年にさかのぼります。創業当時は伊勢神宮へ通じる舟着場できなこ餅を販売しており、そのときは「角屋」と「湊屋」の二件の茶屋があったことから二軒茶屋の名前がついたそうです。
ビールの醸造技術は、大正時代に18代目の店主が始めた味噌たまり醸造の技術を応用したものです。ちなみに、きなこ餅とたまり味噌は二軒茶屋餅角屋の主事業として、現在でも製造が続けられています。

ブルワリーは設立当初から「世界で通用するビールを作る」という高い目標を抱いており、現代ではアメリカのWBC(World Beer Cup)やイギリスのIBA(International Beer Award)などの世界的ビール品評会でも入賞を果たせるレベルにまで到達しました。国内での販売だけでなくアメリカやカナダへの輸出も開始されており、三重県のみならず、日本を代表するクラフトブルワリーへと成長を遂げています。

モクモクビール

モクモクビールは伊賀市の農業公園「伊賀の里モクモク手づくりファーム」で製造されているビールのブランドです。モクモクファームは1987年に農業組合によって設立され、ハム・ウインナー・地ビール、和菓子、お豆腐、パン、焼菓子などの製造、販売を行っています。ネット販売もされており、現在では「モクモク」の名前は、三重県内で最も有名な食品ブランドの一つになっています。
園内ではウインナーやパン作り、乗馬、乳しぼり、ミルクあげなどが無料で体験可能です。この他、温泉「野天もくもくの湯」、レストラン「農村料理もくもく」、ショップ「モクモクショップ、宿泊施設「OKABERi」など、農園にとどまらない多様な施設もそろっています。

クラフトビールの製造は規制緩和直後の1995年に開始しており、東海3県の中で最も早くからビール造りに取り組んだ企業です。製造は園内の工房で行っており、レストランでは出来立てを提供しています。ビール工房には麦芽工房も併設され、一部の製品は麦芽作りから行う徹底ぶりです。

火の谷高原ビール

火の谷ビール

火の谷ビールは美杉町にある「美杉リゾート」で製造されているビールのブランドです。
ビールを作るきっかけとなったのは、リゾートのオーナーが渡米した際に、ある店で飲んだペールエールだったそうです。帰国後に同じ味のビールを探しても見つからなかったので、自分の会社で作ってしまおうという事で、美杉リゾートにブルワリーが作られることになりました。
アメリカで飲んだ味を再現するため、製造施設はアメリカのものをそのまま直輸入して使用しています。現在、使用する大麦も美杉町内で栽培する計画も立てているとか。

リゾート内で火の谷高原ビールを提供するお店「シカゴフォーリブス」は、ロサンゼルスに本店を構えるスペアリブ専門店です。美杉リゾートの店は日本第一号店となっています。スペアリブのバーベキューソースと、火の谷高原ビールの相性もバツグンです。

次回は奈良県のクラフトブルワリーを見ていきましょう。

水谷 圭佑

水谷 圭佑

食べ物や飲み物で、変わった物、新しいものがあれば手を出してみたくなる。お酒はそれほど強くないので、いろいろなビールを少しずつ飲むタイプ。

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