スイーツとも合うビールが充実:埼玉県のクラフトブルワリー

スイーツとも合うビールが充実:埼玉県のクラフトブルワリー

さいたまスーパーアリーナ

埼玉県は日本でも5本の指に入る人口及び人口密度、そして企業の数を誇る、かなり豊かな県です。そのGDPは、県だけでドバイがあるアラブ首長国連邦全体を上回るほどだとか。
そんな埼玉県ではクラフトブルワリーも、数は京都や大阪よりも上となっています。もちろんそれだけ実力の高いブルワリーも多数揃っており、アメリカやEUなどで賞を獲得している所もあります。

また、実は埼玉県はチョコレートや洋菓子が発達したスイーツの県という側面もあります。
ビールに甘い物なんて……、と思う人もいるかもしれませんが、無数といっていいほど多様なビールの世界では、スイーツと合うビールもごく普通の存在です。
ベルギー風の白ビールはメープルがかかったパンケーキと、イギリスの濃い黒ビールのポーターはチョコレートとの愛称が抜群。もちろん埼玉のクラフトブルワリーでも、そうした甘い物によく合うビールがたくさん作られています。

埼玉県は、ビールとスイーツの組み合わせが楽しめる県かもしれません。

COEDOビール

COEDOビール

COEDO(コエド)ビールは埼玉の川越市に居を置く株式会社「協同商事」のビール事業部が製造するブランドです。コエドの名前は、古来より江戸と関係が深かった川越が「小江戸」と呼ばれたことに由来します。
日本のビールがピルスナーばかりで画一的である状況を打開し、ビールはもっと多様性があることを日本人に知ってもらうことを志として創設されました。
第一次クラフトビールブームの時のように、技術の未熟からビールがおいしくないという状況が発生しないように、COEDOの醸造者は技術習得のためにドイツのブラウマスターの下で修業を積んでいます。

ビールは外国の技術を取り入れつつ、日本独自の感性が込められていて、商品名には日本の色の名前が付けられているのが特徴です。ラベルの鮮やかさだけでなく、黒、白、金、赤、琥珀色と、色と味わいも彩り豊かなビールが揃っています。
特に目を引くのが、さつま芋を使ったビール「紅赤」です。さつま芋を使ったビールはこの紅赤が世界で初めてで、その名のごとく深い銅色をしています。

さつま芋の生産はアジアとアフリカに集中しており、ヨーロッパやアメリカではなじみがない野菜です。さつま芋ビールは、アジアならではの発想で作られた製品といえます。
単に変わったビールというわけではなく、アメリカのWBC、ヨーロッパのヨーロピアンビアスターやiTQiといった、世界最高峰レベルのビール品評会で入賞を果たしています。
世界のビール通も認める「旨いビール」というわけです。

所沢ビール

所沢ビール

所沢ビールは、株式会社「ベルビア」が製造するビールブランドです。2010年に結成された「所沢麦酒倶楽部」を前身とし、2012年に企業として発足しました。当初は外部に醸造を委託していましたが、2014年から自社醸造を開始しました。
代表取締役及び醸造責任者の緒方氏は、カヌーの制作や自動車開発に携わったのち、脱サラして醸造に携わるようになったという、ちょっと変わった経歴の持ち主です。

ビールの種類はイギリス系のスタイルが主体で、ホップもイギリスのものや、イギリスと関係が深いオーストラリア、ニュージーランドのものを使用しています。
南半球産のホップはパイナップルやパッションフルーツのような甘い香りを持つのが特徴です。これらを使って作られたビールは、他のクラフトブルワリーでもなかなか味わうことができない独自の風味を持っています。

今のところ瓶で販売されているのは「野老ゴールデン」だけで、他は全てお店向けの樽でのみ販売されています。所沢ブルワリーが自家醸造を始めたのは2014年になってからなので、製造設備が発展すれば、他の銘柄も瓶製品で販売されるようになるかもしれません。

こぶし花ビール

こぶし花ビール

こぶし花ビールは羽生市にある農林公園「キヤッセ羽生」内に設立された、羽生ブルワリーが製造するビールのブランドです。キヤッセ羽生は季節ごとのいろいろな花を楽しめる「四季の丘」を中心として、物産展、手打ちうどんが目玉の食事処、そしてビールの醸造所があります。
ちなみにキヤッセ羽生の周辺は水郷としても有名で、さいたま水族館がすぐ隣にあります。

仕込みには利根川の水と地下水をブレンドした物を使用しています。この水は硬度が100(水道水は30~50程度)と、日本の水にしてはミネラル分がかなり多いのが特徴です。
味が濃いため、ビールの材料の味が水に負けてしまわないように、こぶし花ビールでは麦芽もホップも多めに使うことで醸造されています。
材料をたっぷり目に使って濃く作る手法は、ドイツのメルツェンやマイボック、ベルギーのトリペルなどの高アルコールビールを作る際に使われる方法です。こぶし花ビールにおいてはこうした「濃い」ビールが常設ラインナップに並んでいます。
ビールがあっさり淡麗であるとは限らず、濃厚芳醇なものも多いということを教えてくれるブルワリーです。

次回は千葉県のクラフトブルワリーを紹介します。

何と、あの東京ディズニーランド内で作られている有名ビールまで存在します。ディズニー好きならぜひ行ってみたい場所ですね。

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