1年でもっとも美味しい日本酒が仕込める!? 「大寒仕込み」のお酒とは?

1年でもっとも美味しい日本酒が仕込める!? 「大寒仕込み」のお酒とは?

「大寒」?「大寒仕込み」?

今日1月20日は2021年の大寒です。例年、2月頃に酒屋さんで「大寒仕込み」と書かれた日本酒を目にすることがあります。

「大寒」の時期に仕込まれた日本酒や味噌などが「大寒仕込み」と呼ばれます。
大寒とは、古代中国で生まれ、日本では平安時代からつかわれてきた「二十四節季」(1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれらを6つに分け名前をつけたもの)のうちの1つ。冬の最後の節気です。各節気には、その日1日のことを表す場合と、次の節気までの期間を表す場合があります。毎年、太陽の動きに合わせて決められるため、日付は固定ではありません。2021年の大寒は、日付としては1月20日。期間としては1月20日~2月2日です。

「寒仕込み(寒造り)」

では、「寒仕込み(寒造り)」という言葉を聞かれたことはありますか?

11月から3月頃の冬場に行う日本酒の仕込み方です。現代では、空調等の設備の発達により年間を通じて酒づくりが行われています。また、江戸時代初期までも「四季醸造」といって、真夏以外は一年を通じて酒の醸造を行っていました。

しかし、江戸幕府が米相場や食糧事情等により酒造統制を行い、その1つとして冬場以外に酒造りを行うには生産許可が必要としたことから、蔵元たちは冬以外の季節に酒造りを行わなくなりました。
また、冬場は気温が低いため雑菌が繁殖しづらく、麹菌が発酵が正常に進みやすいとのこと。低温の状態で醪をゆっくり発酵させると味に深みが出て高品質なお酒を造ることができます。
さらに、冬は農閑期で、農家の人々が杜氏となり出稼ぎをしていました。これらのことも関係して寒造りが醸造法の主流となりました。

どんなお味?

日本酒は、秋に収穫した新米を精米・蒸米して、一部の蒸し米に麹菌をふりかけ麹米を造り、残りの蒸し米・米麹・水・酛をもとにし酒母に用いて仕込んでいきます。
寒い冬の時期に低い温度で長期間かけ発酵がうながされることによって、雑味の少ないすっきりとしたきれいな味の酒が出来上がります。

寒仕込みされたお酒は、シーズン限定で楽しむお酒としても出回ります。

1つ目は新酒(しぼりたて)。2月に入ると寒仕込みの新酒が出回り始めます。はじけるようなフレッシュ感があり米のうま味が生きたまろやかな味わいです。

2つ目は秋の「ひやおろし」です。寒仕込みしたお酒を春先に火入れし、夏の間涼しい蔵で熟成。通常は2回行う火入れの2回目を行わず秋に出荷するお酒で、まろやかながら、生ならではのみずみずしさを堪能することができます。
また、「ひやおろし」よりも熟成期間を長くし、立冬の頃から出荷される「寒おろし」もあります。うま味がさらに深まった、まろやかなトロリとした味わいが魅力です。

寒仕込みの時期は美味しくお酒を造ることができるシーズンなので、大吟醸酒など各蔵元で一番のお酒が造られるのもこの時期なんだそうです。

「大寒仕込み」は「寒仕込みの中の寒仕込み」なんですね。

一年で最も酒造りに適した時期といわれる大寒の時期に仕込んだお酒は2月上旬から味わうことができます。
手足が凍るような厳しい寒さの中、蔵人たちが昼夜を問わない繊細な作業を積み重ねて完成する大寒仕込みのお酒

是非楽味わってみてはいかがでしょうか?

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