どぶろくの歴史~日清・日露戦争の背景に酒呑みの涙あり~

どぶろくの歴史~日清・日露戦争の背景に酒呑みの涙あり~

日本酒検定3級を目指してお酒をたしなむ日々。

3歳児が「おりょーりしたい」と言うのと同じ感覚で、「ああ、わたしもお酒作ってみたいなー。どぶろく♪」とつぶやくと、編集長に「いや、違法だから」と、すかさず止められた。

えっ。

いかなる酒類も、自家醸造は酒税法違反にあたるらしい。(そんなことも知らなくて…日本酒検定、ホントに大丈夫?というか、社会人として大丈夫?)

なお、梅酒などの果実酒は例外的に無許可でOK。しかし、果実を漬け込む酒がアルコール度数20度以上でなくてはいけないなど、意外と規制が厳しいのも初めて知った。

そうか、どぶろく作りは違法なのか。あぶなく御用になるところだった。

そもそも、「どぶろく」とは何なのか、調べた知識をここに記します。

どぶろくは清酒の原型。神々に献上した聖なる白い酒

どぶろくは、米、米麹、水、酵母を原料にして発酵させただけ。白く濁ったまま、漉してない状態で、醪酒(もろみざけ)とも呼ばれる。これを加熱したり、上澄みを抜き取ったものが清酒になる。

古墳・飛鳥時代、貴重なお米から作ったお酒を漉したりできず、醪(もろみ)が残ったままの濁った状態のお酒=「濁醪(だくらう)」を神々に献上して豊作を祈願していたことが、どぶろくのルーツと言われている。数百年かけて酒造りの技術は発達し、江戸時代には清酒を大量生産するまでに至ったが、まだ農民・庶民には高価なものであったため、清酒よりも廉価などぶろくが多く流通していた模様。

日本の富国強兵策を支えた酒呑みの涙

どぶろくは、もともと高価な清酒が買えなかった庶民の味方だったのに、なぜ、現代では遠い存在になってしまったのか、歴史をたどると明治時代にまでさかのぼる。

当時の明治政府の国家目標は「富国強兵」。

日清戦争(1894年~1895年)、日露戦争(1904年~1905年)ともに日本軍は勝利を収めたが、その巨額な軍事費捻出のために、当時の庶民・農民、そして酒蔵にとって非常につらい政策が敷かれた。その政策とは…。

まず、江戸幕府から続く規制をゆるめ、酒蔵を増やした

増えた酒蔵に対して、今度は課税をどんどん上げた

酒蔵、困って大反発!

庶民の自家醸造(どぶろく)を禁止する法律を作った。~明治32年(1899年)~

庶民に対して…「自分でお酒を造っちゃダメだよ。呑みたかったら買って呑んでね!(税金高いけど)」

酒蔵に対して…「自家醸造をご法度にしたからさ、お酒を買う人が増えるよ♪税金が高いのも大目に見てよ♪」

伝統ある自家醸造どぶろくを禁止され、税金の高い清酒を買わなければお酒が呑めないなんて。酒呑みにとってはつらい状況だったろう。
一時期は、国家歳入の約3割を、酒税でまかなっていたというのだから(現在は国家歳入の3%程度が酒税)、酒呑みの涙が当時の日本の富国強兵策を支えていたと言ってもいいのかもしれない。

日本酒検定~明治政府

小泉内閣により、どぶろく復活?!「どぶろく特区」の制定

現在でもどぶろく作りは禁止されているが、例外的な「どぶろく特区」がある。

2002年、小泉内閣が地域振興のために制定した「どぶろく特区」では、いくつかの条件付でどぶろくの製造・販売が許可されているというのだから見逃せない!

「どぶろく特区」は下記の地域。(ウィキペディアより~2014年8月現在~)

北海道長沼町
北海道新篠津村
岩手県遠野市
岩手県二戸市
岩手県奥州市
宮城県大河原町
宮城県大崎市(旧鳴子町)
山形県飯豊町
新潟県(どぶろく特区)
新潟県湯沢町
長野県木曽郡
富山県氷見市
石川県白山市(鶴来地区のみ)
石川県羽咋市
三重県熊野市
大阪府高槻市
京都府京丹後市
京都府舞鶴市
京都府福知山市
京都府南丹市
兵庫県養父市
兵庫県朝来市
兵庫県南あわじ市
鳥取県伯耆町福岡地区
島根県浜田市旧弥栄村地区
島根県雲南市木次町日登地区
島根県大田市
島根県邑智郡美郷町
岡山県美作市
広島県北広島町
高知県三原村
熊本県阿蘇郡・山都町(旧蘇陽町)
大分県竹田市
大分県由布市
宮崎県三股町

あなたの住む町の近くに、どぶろく特区はありますか?
旅行で行く?それとも…引っ越す?!
もしや、あなたの町がどぶろく特区?うらやましい!

昔から神々に献上してきた聖なる白い酒。ああ、憧れのどぶろく。
どぶろく特区に引っ越したい♪そんな妄想にひたりながら、今宵はにごり酒を、ちびちびと。

あっ、日本酒検定3級受験記、連載5回目にして日本酒を呑んでます(笑)。
おいし~い。好きすぎて困るんです♪

日本酒検定どぶろくトラック

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