夏目漱石の愛した酒「白牡丹」とは?「先生と僕―夏目漱石を囲む人々―」

夏目漱石の愛した酒「白牡丹」とは?「先生と僕―夏目漱石を囲む人々―」

先生と僕表紙

今回は、KADOKAWAメディアファクトリーのフラッパーコミック「先生と僕―夏目漱石を囲む人々―」(香日ゆら)から、日本酒を紹介します。

漫画は、夏目漱石を中心に、家族や友人、知人、門下生達とのエピソードを、4コマ形式で描いたものです。

香日先生は、「夏目金之助好き」(コミックス1巻あとがきより)、「夏目金之助萌えなんです」(同4巻特別編より)だそうで、作家としての夏目漱石のみならず、一個人である夏目金之助への思い入れをたっぷり感じます。

コミックスは、夏目漱石の生涯と後日談などの4巻で完結していますが、同じく香日先生の「漱石とはずがたり」(全2巻)にて、それ以外のエピソードや、こちらでもあふれんばかりの思い入れを読むことができます。

1巻「先生は下戸で甘党」では、夏目先生のこんなエピソードを紹介しています。

先生と僕1

夏目先生が甘党でジャムが大好きだったことは、テレビ番組(「笑っていいとも」だったかな?)で見た覚えがあります。

「下戸」にも、お酒を全く受け付けない人と、量が飲めない人があって、夏目先生は後者だったようですね。ジャム代に加えて、酒代までかさんだのでは、奥さんにもっと怒られそうですし、釣り合いが取れていたのかも。

それはそれで困った状況もあります。2巻「長谷川貞一郎の不満」では、こんなシーンが。

先生と僕2

漫画のままに説明を加えると、夏目先生は、愛媛県松山の中学校で英語を教え、熊本の第五高等学校でも英語の教員を勤めています。その熊本時代、友人で同僚でもあった長谷川貞一郎が、夏目家に一時期下宿をしていたとのこと。

飲める人と飲めない人が一緒の場合は困りますよね。しかも主人(夏目)が飲めないのに、下宿人(長谷川)がカパカパ飲むのも具合が悪い。

さてこうしたエピソードで気になるのは、「じゃあ夏目先生は、どんなお酒を飲んでたんだろう」です。漫画に描かれているのは日本酒でしょう。

でも「吾輩は猫である」のラストシーンは、猫が残っていたビールを飲んで……ですし、イギリス留学中の日記には、夏目先生がビールを飲んだことが書かれているのだとか。

また「それから」には、葡萄酒(ワイン)を飲むシーンが登場します。すると夏目家の食卓にも、ビールやワインが上ることがあり、ちびちび飲んでいたのかなと思います。

検索していて見つかったのが、広島県にある白牡丹酒造の「白牡丹」です。

同社の先々代社長と夏目先生との間に交流があったそうで、同社ホームページでは、「白牡丹 李白が顔に 崩れけり」の句を沿えた白牡丹の絵を見ることができます。

李白は中国・唐代の詩人。「詩仙」と称されるほどの名人で、酒好きでもあったことから「酒仙」とも呼ばれています。その李白でも相好を崩す程に白牡丹はうまい、との句です。

せっかくですので「白牡丹」を飲んでみましょう。

白牡丹

いろいろ種類がありますが、飲んでみたのは純米吟醸。いつも通りに少し冷やしていただきました。ほんのり甘くて飲みやすく、好きなタイプなので、今後も愛飲したいものです。

夏目先生は、これをちびちびやったのか……、と思いたいところですが、技術の進歩もありますし、さすがに違うでしょうね。それでも何がしかの余韻を感じられたらなと思います。

さてコミックス1巻「十二月九日」は、こんなお話です。

先生と僕3

「次郎」とは、「三太郎の日記」などで有名な、作家で哲学者でもある阿部次郎のこと。

そして12月9日は夏目先生の命日であることから漱石忌と呼ばれています。夏目先生の書はハードルが高いですが、著書でも「先生と僕」でも見つつ、皆さんも一献いかがでしょうか。

なお夏目先生の没年は1916年(大正5年)なので、2016年は没後100年(そして2017年は生誕150年)となります。どこかの書店や出版社でフェアでもしそうですね。

どうせならNHKの大河ドラマで、夏目先生を主役に据えてみてはいかがでしょうか。武人ばかりではなく、文化人を扱っても面白いはず。愛媛と熊本と東京と静岡が組んで、NHKに持ちかければ勝算あり、と妄想があふれるのは、白牡丹のおいしさのせいでしょうか。

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先生と僕―夏目漱石を囲む人々―

作者:香日ゆら
発行:KADOKAWA
全4巻

関連リンク

メディアファクトリー「先生と僕―夏目漱石を囲む人々―」
白牡丹酒造ホームページ

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